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1996年、大学在学中にヒマラヤのラトナチュリを初登頂して以来、私はネパールという国と、そこで暮らす人々の温かさに魅了され続けてきました。

2012年にはキャシャール峰南ピラーを初登攀し、幸運にもピオレドール賞を受賞しましたが、そのすべての登山活動の背景には、ネパールの仲間たちの支えがありました。

そして2015年、若手登山家育成プロジェクト「ヒマラヤキャンプ」を立ち上げ、次世代の挑戦を見守る立場になった今も、ネパールとの深いつながりは変わることなく続いています。

30年という歳月の中で、私はネパールから数えきれないほど多くの恵みを受け取ってきました。山に登る技術、人と向き合う姿勢、自然への敬意。そして、人生を支えてくれた友情。

そのすべてに対して、「いつか必ず恩返しをしたい」という思いが、心のなかでずっと育まれてきました。

その想いから、ネパールの職人が丁寧に作り続けてきた手仕事を日本へ届けるプロジェクトを始めます。

販売は目的ではなく、一つの“入口”です。

本当の目的は、ネパールの職人たちの確かな技術と暮らしを支え、地域の福祉を支援し、未来につなげていくこと。そして、この事業を長期的な支援活動へと育てていくこと。ネパールの伝統を守りながら作られるストールや布製品には、一人ひとりの職人の誇りや家族の暮らしが込められています。その価値を、日本で丁寧に伝え、確かな対価として還元していく。

一つのストールが、誰かの生活を前に進める力になる。

そんな循環を、皆さんと一緒につくっていけたらと願っています。

これまでネパールに支えてもらった30年を、これからの30年で返していくために。このプロジェクトを、静かに、しかし確かに、育てていきます。

花谷泰広